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安居院 あかね; 水牧 仁一朗*; 朝日 透*
放射光, 18(4), p.215 - 222, 2005/07
垂直磁化膜の磁気異方性エネルギーや保磁力などのマクロスコピックな報告が多くなされている一方で、それらの磁性膜の構成元素ごとの磁気特性に着目したミクロスコピックな測定から得られる物理量と、それらのマクロスコピックな物理量との相関について論じた研究の例は多くない。本稿では垂直磁化膜の磁気的性質を軟X線磁気円二色性分光法を用いて元素選択的・軌道選択的に測定し、ミクロスコピックな観点から人工格子薄膜の下地効果や、アモルファス合金膜で希土類元素が果たす役割などについて研究した例を紹介する。
安居院 あかね; 水牧 仁一朗*
信学技報, 104(409), p.7 - 10, 2004/11
強い垂直磁気異方性を示す磁性材料が高密度磁気記録媒体として不可欠となっている。例えば、Co/Pd人工格子多層膜やTbFeCoアモルファス膜は有望な磁気記録材料として注目されている。これまで、垂直磁化膜の磁気異方性エネルギーや保磁力など膜全体の磁気特性の報告が多くなされている。一方、膜の構成元素ごとの磁気特性について着目し元素選択的・軌道選択的に測定した物理量と、前述した系全体を表す物理量との相関について研究している例は少ない。本稿では軟X線磁気円二色性分光測定を用い、垂直磁化膜の磁気特性を元素選択的・軌道選択的観点から研究した例を紹介する。
安居院 あかね; 水牧 仁一朗*; 松下 智裕*; 朝日 透*; 川治 淳*; 佐山 淳一*; 逢坂 哲彌*
Journal of Applied Physics, 95(12), p.7825 - 7831, 2004/06
被引用回数:6 パーセンタイル:27.8(Physics, Applied)本研究では、下地層材料及びその膜厚を変化させた[Co/Pd]n多層膜の軟X線磁気円二色性吸収(MCD)を測定し[Co/Pd]n多層膜の磁気モーメントに関する知見を得ることを試みた。実験は、SPring-8の軟X線分光ビームライン(BL23SU)にて行った。挿入光源の駆動による偏光反転と分光器のエネルギー挿引とを組合せMCDを全電子収量法で測定した。試料はマグネトロンスパッタリングにより室温で作製され、積層数,下地層の種類,膜厚を変えた下地層の上に0.8nmのPd層と0.2nmのCo層を交互に積層させたものであった。測定の結果、下地効果によるマクロな磁気特性の変化から期待されるようなMCDスペクトルの大きな変化は見られず、多層膜上部のCoの電子状態は下地層を変えても大きく変化しないことを示した。したがって、下地層は[Co/Pd]n層との界面近傍の初期成長層のみに影響を与え、それによって、多層膜の全体の磁気特性が大きく変化していると考えられる。